連載コーナー
人生初の抜歯を経験しました。 若い時から歯だけは自信があり、子どもが小さい頃は、品川保健所から「『親と子のよい歯コンクール』に出ませんか?」と言われ、歯科医からは「あなたの歯は、一生入れ歯無し!」とお墨付きでした。それが、大好きなガンコ煎餅を齧った途端、歯に亀裂が走り運命が暗転したのです。日本歯科医師会の提唱する8020(80歳まで20本の歯を保つ)運動に賛同、全歯が健康な天然歯の持ち主と自他ともに公言していた私のプライドは打ち砕かれました。 「亀裂だけは救えない。歯を無くす人の多くはこれなのです」と憐れみと同情の歯科医の言葉が、救急で飛んで行った私の耳にむなしく響きました。 抜歯とはどれだけの痛みと時間がかかるのだろうと危惧していたら、麻酔注射を打つやいなや10秒でクイッと抜いて終了。やけに「あれっ、なんだ早い!」とホッとしていたら、甘く見くびり過ぎていました。その後、麻酔が切れず唇は痺れたまま、出血部分もなかなか止まりません。おまけに言い渡された注意事項は、「血行を良くする入浴、飲酒、過激な運動は控えること」であり、それって私が日々喜びを感じていた全てではないかとガックリきました。あらためて持病の有無、薬の服用など高齢者の抜歯のリスクを感じました。 そしてなおかつ、「町田さん、唇の感覚が無かったら、熱いものは飲まないでね、火傷をしますよ」と、まるで熱燗禁止令のように追い打ちをかけられました。 あれから1週間、今後抜けたあとはブリッジをかけ、復帰するには6月までかかるとのことですが、グラタン、茶わん蒸し、水餃子のやわらか食オンリーの日々です。歯抜けバアサンと化した私は、毎日思います!「あ~、硬―い煎餅バリバリ食べたい!」と。
いいね!ボタン
メッセージもよろしく